Go To トラベル事業の利用者は非利用者よりも新型コロナに感染するリスクが高く、Go To トラベル事業が新型コロナ感染拡大に寄与している可能性があることを示唆していると、東大、UCLAの教授等による研究成果が指摘

宮脇敦士(東京大学大学院医学系研究科)、田淵貴大(大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部)、遠又靖丈(神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科)、津川友介(カリフォルニア大学ロサンゼルス校[UCLA]) によって構成される共同研究チームが、GO TOトラベルの利用経験(過去1−2ヶ月以内の利用の有無)と、過去1ヶ月以内に新型コロナを示唆する5つの症状(①発熱、②咽頭痛、③咳、④頭痛、⑤嗅覚/味覚異常)を経験していた人の割合との関連を調べた研究成果を発表している。

Go Toトラベル利用者の方が、新型コロナウイルス感染症を示唆する症状をより多く経験していることが明らかに
投稿者: 津川 友介 投稿日: 2020/12/0
Go Toトラベル利用者の方が、新型コロナウイルス感染症を示唆する症状をより多く経験していることが明らかに

インターネット調査会社を通じて行われたアンケート形式の質問表調査を用い、人口分布を考慮して全国からランダムに選ばれた15-79歳の28,000人に対し調査を行い、Go To トラベルの利用経験のある人は、利用経験のない人に比べて、過去1ヶ月以内に発熱、咽頭痛、咳、頭痛、嗅覚/味覚異常 を、より多く認めていたことが解ったとしている。

これらの症状、特に嗅覚/味覚異常は新型コロナを強く示唆する症状であることから、

1 Go To トラベル事業の利用者は非利用者よりも新型コロナに感染するリスクが高いことを示しており、Go To トラベル事業が新型コロナ感染拡大に寄与している可能性があることを示唆している。

2 Go To トラベルの利用経験による有症率の違いは、65歳以上の高齢者よりも、65歳未満の非高齢者で顕著で、高齢者の方が新型コロナ感染を恐れ、旅行をしても慎重に行動し、その結果として感染リスクを増加させていなかった可能性を示唆していることから、高齢者と基礎疾患のある人をGo Toトラベルの対象外とする方法が、新型コロナの感染拡大のコントロールにあまり有効ではない可能性が高いことを示唆している。

結論としては、今回の研究ではGo To トラベルの利用が直接的に新型コロナ症状の増加につながったという因果関係は断定できない等の限界があるものの、Go To トラベルの利用者はより新型コロナに感染しているリスクが高いと考えられ、Go To トラベル事業が、新型コロナ感染拡大に一定の影響がある可能性があることを示唆しているとしている。

このことから、現在のGo To トラベルのやり方は新型コロナ感染リスクの高い集団にインセンティブを与える形となっており、感染者数の抑制のためには、対象者の設定や利用のルールなどについて検討することが期待されるとしている。

英文論文
medRxiv
Association between Participation in Government Subsidy Program for Domestic Travel and Symptoms Indicative of COVID-19 Infection

共同研究者の一人、UCLA教授の津川友介が、「世界一わかりやすい「医療政策」の教科書」の著者であることからもわかるが、この研究は、日本政府も推進している、「EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案」の手法により、研究されたものだ。

世界一わかりやすい「医療政策」の教科書
世界一わかりやすい「医療政策」の教科書

EBPMの推進
行政改革推進本部
https://www.gyoukaku.go.jp/ebpm/index.html

菅総理は、Go to キャンペーンが感染を拡大したというエビデンスは無いと国会答弁してきたわけだが、今回EBPMの手法による研究成果により一定のエビデンスが出てきたことで、こうした総理の主張は否定された形になった。

菅首相 GoToと関連「エビデンスなし」 新型コロナ感染拡大
FNN
2020年11月25日
https://www.fnn.jp/articles/-/111595

この研究成果が指摘しているように、「現在のGo To トラベルのやり方は新型コロナ感染リスクの高い集団にインセンティブを与える形となっている」ということは確かなのだから、感染抑制のためには、Go to キャンペーンはさらなる見直しが必要だろう。

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